===トムは商用で2週間外国に行くことになった。その前に相棒のジョージと打ち合わせをするためカフェで落ち合った。
トムはいつも高価なキャデラックを運転していたのに、今日は徒歩でやってきた。
<今、空港近くの銀行に行ってきたところだ。そして、この50ドルを借りてきた>と、トムは得意げに10ドル札を5枚広げて見せびらかした。
<え?まさか、お前がわずか50ドルのお金に困っているわけないだろう?だけど、いつものキャデラックはどうしたのかね?>
<あのキャデラックは50ドルの担保として、銀行においてきたのさ>
2週間後トムは帰国して銀行で借りた50ドルを返し、利息の2ドルを払い、そして担保のキャデラックで悠々と家路についた。
キャデラックの2週間の駐車料金はわずか・・・2ドルであった。===
===ジョージはトムの旅物語を聞き、自分もいいお思いをしたいと、ひなびた田舎町に行った。
そこで、車が故障したふりをして、農家に泊めてもらうことにした。
ベッドに入ったものの、期待していることが起こらないためなかなか寝付けない。そのとき、こつこつと誰かがノックする音が聞こえた。
しめたと思い、大急ぎでドアを開けると、何とナイトガウンを着た若い美女が立っていた。
<お一人でさびしくありませんか?>と彼女は言った。
ジョージは胸をワクワクさせて<そ、それは、まあ・・・>とあらぬ予感を抱いた。
<まあ、よかった!>美女は顔を輝かせた。
<車が故障したから、泊めてもらいたいという男性が・・・・もう一人みえていますの>===
===ジョージは教員室に呼ばれて、詰問された。
<ジョージ、どうしてこの猫についての作文は、トムの作文と同じなんだい?>
するとジョージはすこしもあわてずに答えた。
<だって、トムと一緒に・・・・同じ猫について書いたからです>===
===ジョージとトムは幼い時からの友人だった。ジョージがトムを訪ねてやって来て言った。
<トム、一年後に2倍にして返すから100ドル貸してもらえないか、担保にこのロレックスの腕時計をおいていくよ>
トム<いいとも、われわれは友人だ、さあ100ドルだ>
100ドルを受け取ったジョージ<君は本当にいいやつだ、恩にきるよ>
トム<しかし、一年後200ドルを一度に返すのは大変だから、今半分の100ドルを返して、来年残りの100ドルを返すほうが君にとって負担にならないのではないだろうか>
ジョージ<考えてみると君の言うとおりかもしれないね、だったら今100ドル返しておこう>と受け取ったばかりの100ドルをトムに返した。
ジョージは帰り道不思議な気持ちになった。
トムの言葉は道理にかなっている。しかし借りにいった100ドルは手元にない。そしてロレックスの腕時計もない。
そして一年後、100ドルを・・・返さなければいけない。===
H30年2月