のぼせ、疲れやすい、イライラする・・・日常生活に支障があるその症状は、更年期障害かもしれません。
更年期(45~55歳)には、女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の分泌量が急激に減少するため、全身的な症状や部分的な症状、精神的な症状など、さまざまな症状が現れます(更年期症状)。こうした更年期症状のうち、日常生活に支障があるものを「更年期障害」といいます。
■更年期症状は、女性ホルモンが減少して自律神経機能が乱れることで現れます。
女性ホルモンは、脳にある自律神経の中枢の指令を受けて、卵巣から分泌され、月経や妊娠などの生殖活動にかかわっているほかに、皮膚や粘膜の潤いを保ったり、骨の代謝を活発にして骨を丈夫にする役割を担っています。このほかにも、悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やして、動脈硬化になりにくくするなど、身体機能のバランスを維持する役割を果たしています。
しかし、更年期を迎え卵巣の機能が低下すると、女性ホルモンが十分に分泌されないため、自律神経機能の乱れが起こり、さまざまな身体症状や精神症状があらわれます。
■更年期障害は、3つの方向から積極的に対処できます。
1.症状を悪化させる条件を減らす
生活習慣や環境を見直し、症状を悪化させている原因に対処します。
2.つらい症状を軽くする
あらわれた症状を軽くするため、漢方薬、抗うつ薬、睡眠薬など、その症状に応じた薬を用います。
3.女性ホルモン不足を補う(ホルモン補充療法)
更年期の症状は、適切に対処すれば軽くすることができます。今では治療法が進歩して、選択肢も広がりました。
■ホルモン補充療法(HRT)について知りましょう。
ホルモン補充療法(Hormone Replacement Therapy:HRT)は更年期を迎えて減少した女性ホルモンを補うことで、自律神経のバランスを整え、更年期症状を軽くする治療法です。
飲み薬、貼り薬、塗り薬があります。
効果は個人や薬の種類によって差はありますが、ほてりや発汗などの症状は比較的早く軽減します。
不眠などは3か月くらいで効果を実感できます。
骨量の減少や、膣の乾燥・ 萎縮が抑えられ、性交痛が緩和することも期待できます。
更年期の症状を加齢のためとがまんしないで、婦人科を受診して、自分に合った対処法を見つけましょう。
R1年11月
オーキッドレディースクリニック 院長 紀伊顕二