風疹は、感染者の飛沫などによって、他のひとにうつる感染力が強い疾患です。
妊婦が風疹に感染すると、妊娠早期であればあるほど、出生児が先天性風疹症候群(心臓、耳、眼に障害が出る)になる頻度が高くなります。
大人になって感染すると無症状~軽症のことが多いですが、まれに重篤な合併症を併発することがあります。
また、無症状でも他人に風疹をうつすことがあるので、感染を拡大させないためには、社会全体が免疫を持つことが重要です。
風疹は数年おきに大流行し、先天性風疹症候群の児が誕生しています。
こうした悲劇を最低限にするため、国は2020年(オリンピック・パラリンピック)までに風疹排除を目指し、様々な政策を策定しています。
厚生労働省は特に抗体保有率が低い現在39~56歳男性への無料抗体検査、および抗体価が低い男性へのワクチンの積極接種推進策を発表しています。
各自治体は第一段階として39~56歳の男性に対して受診券を配布、無料抗体検査受検を促し、十分な量の風疹の抗体がないと判明した者に対し、無料で風疹ワクチンを接種することにしています。
妊娠前の女性、それを取り巻くあらゆる年代の男性が風疹の抗体を持つことで、先天性風疹症候群の児の誕生を限りなくゼロにすることが可能となります。
R1年5月
オーキッドレディースクリニック 院長 紀伊顕二